インド人エンジニアは離職しやすい?日本企業で起きやすい3つの離職理由とその防ぎ方
インド人エンジニアは離職しやすいと言われますが、統計データを見ると日本企業での定着率はむしろ高い傾向にあります。本記事では離職要因と定着の構造を整理します。
目次
「インド人=離職しやすい」は誤解。データでは日本企業での定着率は高い
まず最も重要な事実として、インド人エンジニアの日本企業での定着率は、他国エンジニアより高い傾向があります。
代表的なデータは以下です。
日本在住インド人の定住化率は約40%と、中国・ベトナムより高い
(法務省「在留外国人数統計」より算出)日本企業で働くインド人の3年以上の在籍率は60〜70%台
(日系IT企業・製造企業の定着率調査の平均値)インド人技術者の「家族帯同」割合は他国比で高く、長期滞在意欲が強い
(在東京インド大使館の調査データ)インド人IT人材の離職率(日本国内)は5〜10%前後で、インド国内の離職率20%超よりかなり低い
特に、日本に来る時点で“長期キャリアを築きたい層が選抜されている”
ことが、離職率低下の大きな理由として挙げられます。
つまり、
「インド人エンジニアはすぐ辞める」
というのは、現地(インド国内)の転職文化の話であり、日本へ来る人材には当てはまりません。
離職理由①:キャリアパスの不透明さ(構造的に起きやすい)
統計的にも「離職の最大要因」は給与よりもキャリアパスの不透明性と回答する割合が最も多いです。
インドでは
昇格基準がはっきりしている
技術レベル・成果が直接評価に反映される
ロールチェンジが早い
という文化が一般的なため、以下の状況が不満につながります。
役割が曖昧なままアサインされる
昇格条件が見えない
技術選定に参加できない
“総合職的な運用”で専門性が活かせない
防止策
入社前に「1年後・3年後のロール」を明文化
スキルベースの役割定義
1on1でキャリア議論を四半期ごとに
技術裁量の範囲を決めて共有
キャリア透明性を高めた企業は、インド人の定着率が30〜40%改善した事例が多くあります。
離職理由②:コミュニケーションの“文化的ギャップ”
データでは、離職理由として次に多いのがコミュニケーションの不整合です。
代表的なギャップは次の通りです。
日本特有の曖昧表現(「検討する」「前向きに考える」など)が理解しにくい
率直なフィードバックが少ないと「評価されていない」と感じる
日本語の敬語文化が精神的負担になることがある
雑談文化に入りづらく孤立感が生まれる
ただし、これらはコミュニケーション施策で大きく改善されます。
防止策
月2回の1on1と進捗レビュー
期待役割を文章で共有
技術議論の場を英語併用にする
メンター制度による孤立防止
日本語学習の継続支援
これらを実施している企業では、離職率が10〜15%改善した例もあります。
離職理由③:給与・役割のミスマッチ(「給与そのもの」ではない)
日本では“給与が低いから辞める”と捉えられがちですが、実際のデータを見ると、
離職理由の中心は**給与“そのもの”ではなく“給与と役割のミスマッチ”**です。
インド人材は成果への対価を重視するため、以下が不満につながりやすい傾向があります。
開発者として採用されたのにほぼテスター業務
保守運用のみのキャリアで成長がない
昇給幅・評価基準の透明性が低い
技術職なのに事務作業が多すぎる
防止策
ジョブディスクリプションを明確化
技術レベルに応じた昇給基準の設定
技術的チャレンジ領域を明示する
年次ごとの昇給レンジを示す
これによりミスマッチ離職は大幅に低減します。
データが示す「インド人エンジニアは定着しやすい」の本当の理由
複数の調査・企業実績を総合すると、インド人エンジニアはむしろ定着しやすいと言えます。
その背景には以下の構造的要因があります。
来日時点で“日本で働く意思”が強い層が絞られている
家族帯同を希望するため長期滞在志向が強い
日本は治安・生活安全性が高く好まれやすい
日本企業の安定雇用モデルが魅力的に映る
欧米採用よりも競争圧が低く、居心地が良い
日本語学習を通じて職場へのエンゲージメントが高まる
また、現場からの統計では、
インド人エンジニアの離職率5〜10%前後
というデータが多く、これは日本企業全体の平均離職率とほぼ同等か、むしろ低い水準です。
まとめ
インド人エンジニアは離職しやすいというイメージがありますが、統計データではむしろ日本企業での定着率が高いことが明確にわかります。
離職要因の多くは、キャリア不透明・コミュニケーションギャップ・役割ミスマッチなど、**組織側で解消可能な“環境要因”**です。
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