インド新卒採用の技人国ビザ申請|必要書類と手続きの完全ガイド
インドトップ人材の採用成功は、内定後の「ビザ取得」が正念場です。独自の学位事情や必須書類など、人事担当者が押さえるべき「技術・人文知識・国際業務」ビザの実務を解説します。
目次
インド人材と「技人国ビザ」の基礎知識
日本企業がインド人のエンジニアやビジネス職を採用する際、取得すべき在留資格(ビザ)は**「技術・人文知識・国際業務」**(以下、技人国ビザ)が一般的です。現在、日本で働くインド人の多くがこの資格を保有しており、特にIT・機械工学分野での申請が急増しています。
技人国ビザは、従事する業務内容が「理学・工学その他の自然科学の分野(技術)」または「法律・経済・社会学その他の人文科学の分野(人文知識)」に属する知識を必要とするものであることを求めています。
インドの工科大学(IITsやNITsなど)の卒業生を採用する場合、ほとんどが**「技術」区分に該当します。一方、日本語能力を活かした通訳・翻訳や、現地市場へのマーケティング業務などで採用する場合は「国際業務」としての要件を満たす必要があります。重要なのは、「大学での専攻」と「日本での職務内容」の一致**です。ここがずれていると、いかに優秀な人材であっても不許可となるリスクが高まります。
インド特有の学位制度と申請要件
日本の入管法では、技人国ビザの要件として「大学卒業(学士以上の学位)」または「日本の専修学校卒業(専門士)」が求められます。ここで多くの日本企業がつまずくのが、インド独自の教育システムです。
4年制大学(B.Tech / B.E.)
インド工科大学(IIT)を含む多くの工学系大学は4年制であり、卒業時には「Bachelor of Technology (B.Tech)」または「Bachelor of Engineering (B.E.)」が授与されます。これは日本の「学士」と完全に同等とみなされ、問題なく申請可能です。
3年制大学(B.Sc / BCA / B.Com)
インドには3年制の大学課程も多く存在します。例えば、IT系で一般的な「Bachelor of Computer Applications (BCA)」や理学系の「Bachelor of Science (B.Sc)」です。これらもインド国内では正式な「学士(Bachelor)」として認められており、基本的には日本の入管でも「大卒」として扱われます。
ただし、3年制の場合は職務との関連性がより厳密に審査される傾向があります。特に、IT以外の専攻(文系学部など)の3年制大学卒業生をエンジニアとして採用しようとする場合は、高度な実務経験がない限り許可が下りないケースがあるため注意が必要です。
新卒採用の壁「暫定卒業証明書」の扱い
インドの大学の卒業時期は通常5月〜6月ですが、正式な学位記(Degree Certificate)が発行されるまでには、卒業後数ヶ月〜1年程度のタイムラグが発生することが一般的です。
日本のビザ申請(在留資格認定証明書交付申請:COE申請)では、卒業を証明する公的書類が必須です。この際、正式な学位記の代わりとして**「Provisional Certificate(暫定卒業証明書)」**を使用します。
Provisional Certificateの効力
これは大学が「学位授与の要件を満たしたこと」を公式に証明する書類で、日本の入国管理局でも正規の卒業証明として受理されます。内定者が卒業試験を終えた直後(6月〜7月頃)に大学から発行してもらうよう指示する必要があります。この書類の手配が遅れると、10月入社や翌4月入社に向けたCOE発行スケジュール全体が後ろ倒しになるため、早期のアナウンスが不可欠です。
職務内容説明書と採用理由書の重要性
インド人採用におけるビザ申請で最も専門性が問われるのが、企業側が作成する**「採用理由書(Statement of Reasons for Employment)」**です。
特に高度なスキルを持つIIT卒業生などを採用する場合、彼らの専攻分野(Computer Science, AI, Mechanical Engineeringなど)と、自社で任せる業務内容がいかに密接に関連しているかを、論理的かつ技術的な言葉で説明しなければなりません。
NG例:「プログラミング全般を担当」
これでは具体的ではなく、大学での高度な学習内容との関連が見えません。
OK例:「Python及びTensorFlowを用いた画像認識アルゴリズムの実装・改善業務」
このように、大学で学んだ特定の技術スタックや理論が、実際の業務でどう活かされるかを具体的に記述する必要があります。Phinxでは、技術バックグラウンドを持つスタッフが、候補者の履修内容(トランスクリプト)を詳細に分析し、入管審査官が納得するレベルの理由書作成を支援しています。
申請に必要な書類リスト(インド側)
インド現地から取り寄せる必要がある主な書類は以下の通りです。PDFデータではなく、原本の提出を求められるケースもあるため、郵送日数も考慮に入れる必要があります。
1. 卒業証明書(または卒業見込証明書 / Provisional Certificate) 大学発行の公式なもの。
2. 成績証明書(Transcripts / Marksheets) 全学年分が必要です。専攻科目と職務の関連性を証明する最重要書類です。
3. 履歴書(Curriculum Vitae) 学歴やインターンシップ経験、使用可能なプログラミング言語などを記載。
4. パスポートの写し 顔写真ページ。有効期限に注意。
5. 証明写真 縦4cm×横3cm。無背景、3ヶ月以内に撮影したもの。
インドでは、名前のスペルミス(パスポートと大学書類で名前の表記順が違うなど)が頻繁に起こります。書類を受け取ったら、まず全ての書類で氏名と生年月日が完全に一致しているかを確認してください。
給与水準と雇用契約の注意点
技人国ビザの基準省令には「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」という規定があります。
「安価な労働力」ではない
インドのトップ層(IIT/NITクラス)を採用する場合、彼らの市場価値は非常に高く、日本人の初任給相場(20万円台前半)では見向きもされないだけでなく、入管審査でも「不当に低い」と判断されかねません。
明確な待遇提示
雇用契約書には、基本給、賞与、手当などを明確に記載する必要があります。また、インドの商習慣では「Cost to Company (CTC)」という年収概念が一般的ですが、日本の給与体系(月給制、社会保険控除など)とは異なるため、内定時に手取り額(Take-home salary)を含めた丁寧な説明を行うことが、入社後のトラブル防止と早期離職防止に繋がります。
COE交付から入国までのフロー
COE(在留資格認定証明書)の申請から交付までの標準審査期間は、通常1ヶ月〜3ヶ月です。
申請(日本側): 企業または行政書士が入管へ書類提出
審査・追加資料提出: 必要に応じて追加説明を求められる
COE交付: 電子メールまたは郵送で受領
ビザ申請(インド側): インドの日本大使館・領事館へCOEを提示し査証申請
渡航: 査証発給後、日本へ入国
新卒一括採用で4月入社を目指す場合、前年の12月〜1月には申請を行うのが理想的です。インド人学生は卒業後の6月以降すぐに入社可能なケースも多いため、個別の入社時期に合わせて逆算したスケジュール管理が求められます。
まとめ
インド人新卒採用における技人国ビザ取得は、単なる事務手続きではなく、高度な専門知識を要する採用プロセスの核心部です。インド特有の学位制度(B.Tech/BCA等)の理解、Provisional Certificateの活用、そして技術的な職務適合性の立証など、緻密な準備が成功の鍵を握ります。
不備による不許可や、説明不足による審査長期化は、内定者の辞退リスクに直結します。確実な採用成功のためには、インド現地事情と入管実務の両方に精通したパートナーが必要です。
Phinxのインド採用支援
Phinx(フィンクス)では、インド工科大学(IIT)をはじめとする現地トップ大学との強固なネットワークを活かし、採用から定着までを一気通貫で支援しています。
現地事情への精通: インド現地の大学担当者と直接連携し、Provisional Certificateなどの必要書類をスムーズに回収します。
技術的な理由書作成: エンジニア経験のあるスタッフが、候補者のスキルと御社の業務内容を深く理解し、入管に評価される職務説明書・理由書の作成をサポートします。
ビザ申請のブラックボックス解消: 内定後のVISA・COE取得プロセスを完全にハンドリングし、候補者と企業の間の不安を取り除きます。
入国後の生活立ち上げ: ビザ取得後の渡航調整から、日本での住居探し・生活セットアップまで伴走し、スムーズな就業開始を実現します。
インド人エンジニアの採用をご検討中の方、ビザ手続きに不安をお持ちの企業様は、ぜひPhinxへお問い合わせください。貴社のニーズに合わせた最適な採用スキームをご提案いたします。
出典
出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」
在インド日本国大使館「査証(ビザ)案内」
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