インド採用で陥りがちな一流大学偏重の罠
インド採用で「IIT/NITなどの一流大学に限定する」という日本企業は多いですが、これは採用成功率を下げる“戦略的な落とし穴”でもあります。その理由を解説します。
目次
日本企業が一流大学偏重に陥る理由
インド採用の相談で最初に必ず挙がるのが IIT・NIT といった有名工科大学 です。日本でも知名度が高く、「インド=IIT」というイメージが強いため、採用側としても社内説明がしやすいという利点があります。
しかし、現地の HR 専門家から見ると、IIT は“インド人材市場のごく一部”に過ぎないというのが実情です。最初から母集団が極端に小さい層だけに狙いを固定してしまうことになります。
IIT・NITは全学生の0.5〜1%しかいない現実
インドでは年間 800 万人以上が大学を卒業しますが、IIT・NIT に属する学生は 1%未満です。
つまり一流大学だけをターゲットにすると、最初から 99% の優秀層を除外していることになります。
さらに、IIT生の多くは
欧米大学院進学
Google・Meta などの超高額オファー
中東・欧州企業のリクルーティング
など、日系企業が競争しにくいキャリア選択肢を持っています。
一流大学層はGoogle・Meta・外資メーカーと競合する
IIT生の初任給は 数百万円〜数千万円 に達することもあります。
競合は GAFA・外資コンサル・欧州製造業 といった世界トップクラスの企業です。
この層は「給与・成長機会・グローバル性」を重視するため、日系企業の提供価値では勝負しづらいのが現実です。
実は優秀層はTier2〜Tier3にも広く分布している
インドでは工学教育の裾野が非常に広く、Tier2 大学にも実務力が高い学生が多数存在します。特に南インドの主要工科大学は、アメリカ・欧州企業からの評価も高い領域です。
代表例:
VIT(Vellore Institute of Technology)
SRM Institute of Science & Technology
PES University
Anna University
これらの大学には
ハッカソン入賞、GitHub の継続更新、長期インターン、英語+日本語の学習意欲
といった、将来伸びる人材の特徴を備えた学生が多くいます。
世界の採用トレンドは大学名より“実力評価”へ
アメリカや欧州のIT企業では大学名フィルターはほぼなく、採用基準は
プロジェクト実績
コーディングテスト
技術ブログ/アウトプット
インターン評価
が中心です。
現地HRの共通認識として、
「IIT だから活躍する」「Tier2 だから弱い」という単純な相関はない
というのが実態です。
大学ブランド偏重を脱するための実践ステップ
成功している日系企業は、以下の流れで採用戦略を作っています。
必要スキルの言語化(大学名ではなく職務要件で評価)
Tier2〜3 大学の強い学科や研究室の把握
日本語学習済み or 高意欲層を優先
GitHub/インターン履歴で実力を定量評価
現地パートナーを用いた事前スクリーニング
このアプローチにより、採用コスト・スピード・マッチング精度が大幅に向上します。
まとめ
一流大学への偏重は、母集団の小ささや競合関係の激しさから、採用効率を下げる要因になりやすいのが実態です。
一方で Tier2〜3 大学には 実務力や学習意欲が高い学生 が広く分布しており、日本企業との相性も良い傾向があります。
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